活動報告

年次活動テーマと重点課題

  1. 2009年度のテーマを「プリンタブルエレクトロニクス」とし、多くの講演を実施
  2. 2010年度創設10周年記念事業の企画とホームページの創設。ならびに会員執筆による『要点解説 タッチパネル』を工業調査会から出版
  3. 夏季研修会は7月10日に東北大学内田龍男研究室にて開催(協力:凸版印刷)
  4. 関西での例会は、11月27日にバンドー化学㈱にて開催
  5. 会員の企画による研究会実施(2010年1月、鉄道模型他の企画)

<1年を振り返っての感想と反省点>

  1. 参加会員が個人を含め80を超え、例会平均参加人数も70名になってきた。そのため会場の狭さが気になるところだが、懇親会との兼ね合いから当面は東京理科大学で引き続き例会を開催する。
  2. アンケートにも要望が多い会員報告であるが、依頼してもなかなか引き受けてもらえない現実がある。
  3. ホームページを創設することができた。今後は、会員勧誘や研究会紹介に活用していただくとともに、自社、個人のPRの場としてほしい。
  4. 会員の執筆協力による『要点解説 タッチパネル』を10月に発刊し、10周年記念事業として、法人会員に2冊、個人会員に1冊配布した。
  5. 幹事会会議の内容を新たに会員に伝えると共に、2010年に幹事研修会を実施する。次年度統一テーマの設定や研究会の内容の概要を討議し早めに確定することを目的とする。
  6. 講演内容は非常によいものが多い(参加者が多いことと関連があると思う)が、一方で文化に関連すテーマが少ない気がする。(2009年度は「鉄道模型」の講演1件のみ)

第1回研究会(綜研化学㈱ 斉藤会員が企画を担当)

参加者 69名(懇親会41名)
日時 4月15日(水)13:30~
場所 東京理科大学 森戸記念館 地下第一フォーラム室
年次総会 2008年度の決算報告、活動経過報告の承認。2009年度の事業計画、予算案の承認。2009年のテーマであるプリンタブルエレクトロニクスの概要報告
会員報告 安田産業㈱「タッチパネル部材の新たな取り組み」(ITOフィルム、光学材料、ガラス、銀ペースト等)、 ㈱コスモテック「会社概要とTV、携帯用粘着テープ、放電反射テープ、電磁遮蔽シート」などの紹介があった。
講演 「超臨界水を用いた有機無機ハイブリッドナノ粒子の創製」
 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 教授 阿尻 雅文 氏
 基礎研究での段階を終え応用について多くの企業と考えて行きたいのでぜひ情報交換をしたいとの要望があった。新規ハイブリッド高分子、DDS応用、バイオイメージング等本研究会に関連する応用の紹介があった。
「有機薄膜二次電池の現状と今後」
 早稲田大学 理工学院 応用化学専攻 教授 西出 宏之 氏
 有機電池を新たな切り口の観点から有機ラジカルポリマーに着目し、高効率、高速で蓄電放出できる新材料の紹介がなされた。
懇親会 東京理科大学森戸記念館2階にて

第2回研究会

参加者 例会74名、懇親会67名
日時 2009年6月8日(月)13:30~
会場 東京理科大学 森戸記念館 地下第一フォーラム室
講演 大阪大学 産業科学研究所教授 菅沼克昭氏に、「プリンテッド・エレクトロニクスの概要と今なぜ注目されているのか」を、インクジェットを中心にお話いただいた。

凸版印刷㈱ メディア開発事業本部 部長 檀上 英利 氏に、「電子ペーパーの現状と将来像」について詳しくお話いただいた。
井上金属工業㈱技術本部 河合 寿和 氏に、「基幹技術になるコーティングについて最近の動向」をお話いただいた。
会員報告 太平化学製品㈱ 藤谷会員「製品全般の紹介」、住友重機機会工業㈱ 泉山会員「フィルム搬送等の物流全般の紹介」
懇親会 東京理科大学森戸記念館2階にて

夏季特別研修会

参加者 36名(非会員2名)、東北大学スタッフ8名、学生15名参加
日時 2009年7月5日(金)
場所 東北大学 青葉山記念会館 会議室
講演 「液晶ディスプレイ研究開発動向」
 東北大学 工学研究科電子工学専攻 内田 龍男 教授
 液晶ディスプレイのカラー化の開発研究に始まり、低電力化に向けてのフィールドシケンシャル方式の提言、さらなる超低電力化への対応と新たな拡散版の開発についてお話いただいた。またディスプレイの大型化に対応するリアプロディスプレイの開発に向けたハードの理論設計の提案や光源の提案など、未来の姿としての電子ウインドー、超小型プロジェクター、医療への応用などへの挑戦についてもお話いただいた。

「フィールドシーケンシャル方式液晶ディスプレイの開発」
 (財)21あおもり 液晶先端技術研究センター 所長 若生 和一 氏
 カラーフィルターのいらない新方式の液晶の製品化に向けての取り組みと課題についてお話いただいた。広視野角、高精細、低温動作性、既存生産ラインでの製造可能が特徴。製品化に向けては、放送機器用ハイビジョンモニターと医療用手術顕微鏡付き立体視用ハイビジョンモニターへの具体化を目指している。材料面でまだまだ改良したいことがあるので研究会に協力いただきたいとのことであった。
見学会 フィールドシーケンシャル方式ディスプレイ液晶など研究開発中のデモンストレーションや機器の見学をした
懇親会 懇親会には学生さんが加わり盛会であった

第3回研究会

参加者 80名(懇親会75名)初参加の企業が11社あった。
日時 2009年10月5日(月) 13:30~
場所 東京理科大学 森戸記念館 地下第一フォーラム室
講演 「スーパーグロス法によるCNT合成技術」
 産業技術総合研究所 CNTチーム長 畠 賢治 氏
 簡単な合成法を確立することで超高純度での工業的大量生産とコストを従来の1000分の1にする目処を付けた。NEDOのプロジェクト委託事業を進めている。多くの企業の参加を得て応用の拡大を図りたいとのことである。

「印刷法によるフレキシブル有機トランジスタと機能性フィルム」
 東京大学 染谷 隆夫 教授
 有機トランジスタの開発において、機械特性と電機特性の双方をよくするため、インクジェット+スクリン印刷を駆使してプラスチックフィルム上に実現すべく研究をしている。大面積圧力センサー、温度センサー、ディスプレイへの応用も紹介。
会員報告 信越ファインテック㈱ 山田 会員「包装、機能材料、シリコンの紹介」、籐光樹脂・新日鐵化学㈱ 安藤 氏「シルプラス(耐熱透明樹脂)の紹介」、トクデン㈱ 藤本 会員「流体循環ジャケットロール&リチュームイオン電池」
懇親会 東京理科大学森戸記念館2階にて

第4回研究会

参加者 60名(懇親会55名)
日時 2009年11月27日(金) 13:30~
場所 バンドー化学㈱ 中央研究所 1階大ホール
会員報告 日本資材㈱国枝会員「メタル(Cu)フィルム、有機顔料、透明導電フィルム(Ag)、透湿、防水ウレタンフィルムの紹介」、中塚㈱中塚会員「純金箔販売で創業、金糸銀糸、壁紙、シルクリ-フ(転写箔)の和服、洋服、装飾用への応用」
講演 「バンドー化学㈱R&Dの方向性」
 バンドー化学㈱ R&Dセンター長 畑 克彦 氏
 金属ナノ粒子の創製方法、実用化のためのペースト化、応用としての回路形成や導電材料への応用、材料創製時の成長プロセスや分散状態についての評価結果が報告された。

「摩擦転写法による有機高分子の分子配配列制御」
 神戸大学 工学研究科 教授 植田 裕清 氏
 光エレクトロニクス分野における有機薄膜の製法はLB法や蒸着法などがあるが、摩擦転写法(擦りつける方法)は、低温で薄膜化、しかも配向が可能であること、また溶剤に不溶な材料へも応用ができ、注目されていることを解説いただいた。
見学会 講演終了後、バンドー化学㈱R&Dセンターならびにショールームを見学させていただいた。
懇親会 「みなと庵 縁」にて

第5回研究会

参加者 64名(懇親会59名)
日時 2010年1月27日(水) 13:30~
場所 東京理科大学 森戸記念館 地下第一フォーラム室
会員報告 綜研化学㈱「ナノインプリント技術を用いた剥離機能を有する樹脂モールド製品の開発」太陽電池関連材料として低温焼成型チタニアの開発と汎用溶剤可溶型導電性ポリマーの紹介があった。
講演 「趣味の世界としての鉄道模型」
 ㈱天賞堂 執行役員 町 茂樹 氏
 天賞堂は、鉄道模型を1949年から手がけている。鉄道趣味は写真撮影、乗り鉄、切符等の収集車両研究、鉄道設備の調査、廃線めぐりなどがあり、鉄道模型は究極の趣味。鉄道模型の醍醐味はジオラマを作りそこにいろいろな列車を走らすこと。模型は原寸に対してできるだけ正確に再現することを心がけ製造販売しているとのことであった。

 「LSIパッケージ&SiP基板の開発」
 イビデン㈱ 技術開発本部電子回路開発部 東京研究所所長 神保 裕清 氏
 イビデン㈱発電事業から始まり、その電力を使いセラミックや電子部品製造に入る。回路基板事業においては、携帯電話、デジタルカメラ、PCなどの電子機器の実装技術の変遷の中で、機能内蔵型高密度プリント基板へ進化する経緯を説明。ビルトアップ配線版の進化やFVSS(FreeViaStacked-upStructure)の設計仕様、Sip/機能内臓基板の動向についての解説をいただいた。
懇親会 東京理科大学森戸記念館2階にて

第6回研究会 

参加者 65名(懇親会55名)
日時 2010年2月15日(月) 13:30~
場所 東京理科大学森戸記念館地下第一フォーラム室
会員報告 サンアロー㈱ 鎌田 会員「導電性シリコンゴムの加工からスタートし、現在は、モバイル関連のキーシートの製造に当たり、設計、金型製作、成型、組み立ての生産技術を一貫体制で整えている」という同社の紹介があった。
メッシュ㈱ 大歳 会員「フィルムコーティング材料を幅広く手がけ、耐熱加工性のある蒸着アンカー剤、密着透明性のあるUVアンカー剤をはじめ、帯電防止剤、粘着剤、塗料、印刷バインダーなど幅広く対応している」という同社の紹介があった。
荒川化学工業㈱東本会員「薄膜用、コンデンサー用、シールド用、液晶用といった用途により、スクリーンパターンやスクリーンの製版が異なるのが特徴。メタルマスクやフォトマスクそしてロータリースクリーン印刷の販売にも着手している」という同社の紹介があった。
講演 「プリンタブルエレクトロニクス 特に無機EL材料とデバイスについて」
 有限会社イメージテック 代表 田口 信義 氏
 プリンテッドエレクトロニクスの最近の動向についての説明があった後、分散型無機ELを印刷技術で表示シート、照明へ応用していく開発状況が報告された。今後の実用化への課題は高輝度化、高感度化、低電圧化であるとのこと。
米国ミネソタ大学化学 工学材料科フェロー 淵上 修三 氏「海外のコンバーティング技術最新動向―スロットダイ塗布の動向」。これからの産業はアジアが中心になる。特に韓国と台湾の台頭が著しい。プリンタブルエレクトロニクスにおいては印刷と塗布が融合してきている。精密塗布技術のニーズとして、
①薄膜塗布(塗布流動):ディスプレイなどの用途に多用されている。
②厚膜塗布(微細構造)マイクロストラクション:乾燥させながら層形成を行う。
③多層同時塗布(塗布流動&微細構造)銀塩材料→磁気テープ
④パターン塗布&印刷:これがプリンテッドエレクトロニクスにつながるニーズ
概論の後スロットダイコーティングについて詳しい話があった。
懇親会 東京理科大学森戸記念館2階にて