今年度に行った例会等の活動内容をご報告いたします。

これまでの活動は、年度別活動概要からご確認いただけます。

4月例会

参加者 のべ170名(会場:48名、ライブ視聴:96名、ビデオ視聴:26名)
日時 2022年4月20日(水)
場所 タワーホール船堀 小ホール
講演

①「ウイルス感染症について新型コロナウイルス〜身近なウイルスまで」
㈱スギヤマゲン 学術室/開発室 室長 霜島 正浩 氏
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特徴を他の感染症病原体となる微生物との違いや、今までのSARSや新型インフルエンザなどのウイルス感染症との違いにより述べられた。ウイルスは、微生物ではないため、一般的に行われている培養による菌増殖を経て顕微鏡観察による検査ではなく、イムノクロマト抗原検査や抗体検査、遺伝子検査(PCR)など専用の検査が必要である。感染症の分類により、それぞれ対策が異なり、隔離方法や検査方法や検体の梱包、輸送方法などが細かく決まっている。実際、新型コロナウイルス検査の費用も各期間により異なり、4/1以降引き下げになり、7/1よりさらに引き下げられることが決まっている。新型コロナウイルスは、インフルエンザのように喉部での感染ではなく、直接、肺での感染がおこり、短期間に肺炎を発症することから、より危険性が高い。感染対策では、マイクロ飛沫感染の危険度が高く、換気による空気感染の防止が有効である。また、最終的にはワクチンによる予防が有効であり、そのワクチンの種類やその原理を基に新型ウイルスだけでなく、他の感染症予防への有効性も説明された。

②「富士フイルム独自抗菌・抗ウィルス技術HydroAg+の技術紹介及び新製品フィルム「HydroAg+Virus Plus」の特徴について」
富士フイルム㈱ メディカルシステム事業部 モダリティーソリューション部 マネジャー 阿部 洋史 氏
講演の骨子は以下の5点である。
1.富士フイルムグループの紹介(事業展開や歴史背景)
2.開発背景
3.HydroAg+の技術的な紹介
4.応用商品の紹介
5.アプリケーションと応用の紹介
1934年に大日本セルロイド㈱の事業分離として創立される。2006年より富士フイルムと富士ゼロックスの2大事業を傘下に束ねる富士フイルムホールディングス㈱に移行される。会社理念はNever Stop~挑戦だけが未来をつくる。
2000年をピークに写真用フィルムの需要が激減していく事業環境下において、写真事業から生まれたコア技術を活用し、M&Aで事業領域を拡大していくことに成功した稀有な企業だと改めて理解した。代表的なコア技術は、フィルムベース、感光、精密塗布、撮像などであるが、これらのピークまで極めた高技術を展開できる写真以外の他領域へ展開していかれた。事業分野はヘルスケア、マテリアル、ビジネスソリューション、イメージングと4つの大カテゴリーに分けられており、ヘルスケア事業分野ではメディカルシステム(診断)、コンシューマーヘルスケア(予防)、医薬品(治療)、バイオCDMO(治療・予防)、ライフサイエンス(治療)の分野にビジネスを展開している。メディカル内視鏡~X線画像診断~IVD(体外診断)~超音波~CT/MRIの各々のデバイスを医療ITで統括する仕組みを富士フイルムオンリーで構築できる仕組みができている。 院内感染を防ぐという大テーマに対して、写真フィルムで培ったナノ銀の活用と特殊塗工技を活用してHydroAg+を開発した。当初は院内で使用するスマホ、タブレットにむけたカバーフィルムとして展開。現在ではATMタッチパネル、デジタルサイネージ、オフィス機器、航空機モニター、タクシーなどに採用が進んでいる。また、フィルム塗工品だけではなく、アルコールスプレータイプやハンドジェルタイプなどにも展開している。スプレーやアルコールクロスタイプでの効果を確認するため、神奈川県下の病院や学校と提携しインフルエンザ等の感染予防対策のエビデンスを集めており、極めてよい結果がみられている。また病院向けには医薬品レベルの効果があるハンドジェルタイプの拡販を進めている。

2022年度第21回総会&6月例会

参加者 のべ113名(会場:44名、ライブ視聴:56名、ビデオ視聴:13名)
日時 2022年6月14日(火)
場所 タワーホール船堀 小ホール
総会

以下の議案についてすべて承認されました。
1) 1 号議案 2021 年度(2021 年 4 月 1 日〜2022 年 3 月 31 日)事業報告
2) 2 号議案 2021 年度事業収支報告、審議
3) 3 号議案 2022 年度下記事業計画に関する審議 ① 活動方針(年次テーマ、重点課題) ② 活動計画 ③ 運営予算
4) 4 号議案 2022 年度役員選任(会長、副会長、運営委員、相談役)に関する審議

講演

①「5G に対応するメタロイドソリューション」
(株)イオックス 研究開発部 市場開拓グループ 志村 昌則氏
<要旨>
樹脂やフィルムに無電解めっきを析出させる為の触媒インキで、今後5G製品で要求される低誘電フィルムや難接着フィルムに粗化することなく高密着のめっきを可能にする新しい工法材料として「メタロイド」が紹介された。アンテナ等高周波特性が要求される製品は基材の誘電特性とスキンエフェクトが重要になり基材表面を祖化したものでは伝送損失が大きくアプリケーションが限定的になるところ、「メタロイド」では租化無く化学的に密着をしている為高密着で低伝送損失のFCCLや製品を作製する事が可能となる。ディスプレーを有する製品や透明アンテナで要求される光学特性も透過率を大きく下げる事無く(基材に対し約5%低下)Haze値は基材と同等レベルで実現可能で基材背面の黒化も特別なレイヤーを設ける事無く実現される。これらの特徴を生かしコーティング技術やパターニング技術で様々な5Gアプリケーション(スモールセルアンテナ、通信ケーブル、ヒーター、タッチセンサー等)に対応しサステナブルで先進的な製品づくりが可能となるとの説明があった。

②「エンジニアのためのキャリアデザイン」
百瀬知財・人材コンサルティング 代表 百瀬 隆氏
<要旨>
近年、企業価値に占める無形資産の価値が高まりつつあるが、それに伴って企業内で無形資産を生み出す人的資産そのものの重要性が高まっている。そこで、企業内で働く個人がどのように自身の知的資産を蓄積し、企業の無形資産の蓄積に貢献していくかという視点が重要なポイントとなってくる。そして、特に開発者、研究者が自身の知的資産をどの様に形成していくかを含めたキャリアデザインが重要になってきている。これに関連して、参考図書として「ライフシフト 100年時代の人生戦略」において、長寿命化のなかでマルチステージを生き抜くために無形資産(所得、健康、変化への対応力)を蓄える必要性が指摘されていることの紹介があった。一方、現在のVUCA(不確実性、不透明性)の時代では、企業経営自体が不安定な状況にあり、企業側の人材育成計画も機能しにくくなっている。つまり、新たな事業創出の取組を行うにしても、社内でそれに対応出来る人材が不足していることから、外部から人材を補強すると言うことが起こるなど、企業として開発者や研究者の育成を行うことが難しくなり、個人に自律したキャリア形成が求められる傾向にある。今回の講演では、自分自身のキャリアデザインを行う際には、「自分を実験対象とする考え方」が示され、それを行うために自分を上から観察する「メタ認知」能力が必要であることが強調された。なお、この「メタ認知」能力を上げる方法として、学術的には定まっていないが、講師自身の経験として、自身の場所の移動(国内から海外、都市から地方など)させることにより視点を変えることや、相手に視点を移すという「(他人への)気を遣う」意識を持つことが重要であるとの説明があった。又上司/部下の関係のなかでは、部下に視点を移し、部下がどうしたいのか(その人自身が持つ答え)を聞き出すことが重要との指摘もあった。
参考図書:
1)「知的経営の神髄」東洋経済新報社
2)「ライフシフト 100年時代の人生戦略」東洋経済新報社
3)「働く人のためのキャリアデザイン」PHP新書
4)「メタ認知」中公新書クラレ
5)「国際マヴェリックへの道」筑摩書房