今年度に行った例会等の活動内容をご報告いたします。

これまでの活動は、年度別活動概要からご確認いただけます。

9月例会

参加者 145名(会場:40名、Webライブ視聴:85名、ビデオ視聴:20名) 内お試し参加:2名含む
開催日 2022年9月7日(水)
場所 タワーホール船堀 小ホール
講演

1.「限りある資源を未来の子供たちへ『ボトルtoボトルへの挑戦』 起業から今日までのあゆみ」
協栄産業(株) 代表取締役社長 古澤栄一氏
<要旨>
『分ければ資源、混ぜればゴミ』を企業理念に1985年に起業され、日本で初めてPETボトルの「ボトルtoボトル」のリサイクルを実現。全国に拠点を増やし2021年度にはグループ売上約230億円、従業員約420名にまで事業拡大している。しかし、そこまでの道のりは決して平坦ではなく、いくつもの壁があった。社長ご自身に余命宣告のがんの発症、金融機関、飲料業界、国などとの様々なやり取りの中、数多くの試練に直面しながらもこれらをすべて乗り越え、PETボトルの水平リサイクルは実現した。ボトルtoボトルの国内リサイクル比率は現状約25%、大手飲料各社は使用実績を拡大し2030年には50%にすると全国清涼飲料連合会が発表している。そして世界初、回収PETボトルからプリフォーム製造までのダイレクトリサイクル技術を開発し、カーボンニュートラルの実現に貢献していくとのことです。

2.「研究開発と事業展開を特許で「攻める」~手作りIPランドスケープのご提案~」
(株)ネオテクノロジー 代表取締役・技術士 中島隆氏、取締役 橋本小百合氏
<要旨>
特許情報の活用を通じて“技術と特許をつなぐ” 新価値創造支援の具体例を紹介する。特許情報には社会の変化とそれに伴う技術的課題を解決しようとする企業の取組みが表れている。ネオテクノロジー社は、特許情報を、技術情報、ビジネス情報、創造のための刺激情報として活用し、R&D経験豊富な技術専門スタッフのコーディネーションによる、お客様の事業企画と研究開発を促進する支援事業(ACTAS)を行っている。機能性材料・フィルムにおいては、材料がどのように川下用途で用いられるかの「使われる技術(材料に求められる機能)」をキャッチし、「攻め」の研究開発を行う技術マーケティングの考え方がますます重要になってきている。いままでのACTAS実践の中から、最近話題の6Gや医療ヘルスケア分野への新規参入を検討する具体事例が紹介された。

3.「微生物に作らせる海洋生分解性プラスチック」
東京工業大学 物質理工学院 材料系 ライフエンジニアリングコース 准教授 柘植 丈治氏
<要旨>
一部の微生物には、炭素貯蔵物質として脂肪族ポリエステル・ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を合成し、細胞内に蓄積することが知られている。PHAは 熱可塑性を有し、海水中でも生分解可能なプラスチックとしてストローなどに加工され身近な材料になりつつある。本講演では、PHAの海洋生分解性に着目し、新しく見出した生分解性プラスチックの物性やその生分解性について紹介した。特には、活性汚泥に存在する微生物が合成する3H2MB(3-Hydroxy-2-Methylbutyrate)含有のPHAについて、遺伝子組換え大腸菌を用いて生合成経路を確立してP(3H2MB)を得ることに成功した。この新規なバイオポリマーP(3H2MB)は、高温領域でPP(Polypropylene)よりも素早く結晶化することが確認できた。また、低分子量体PHAを用いたポリウレタンの合成例が示され、駿河湾の表層水と深層水で生分解実験を行った結果も示された。

2022年度定期総会&6月例会

参加者 のべ113名(会場:44名、ライブ視聴:56名、ビデオ視聴:13名)
日時 2022年6月14日(火)
場所 タワーホール船堀 小ホール
総会

以下の議案についてすべて承認されました。
1) 1 号議案 2021 年度(2021 年 4 月 1 日〜2022 年 3 月 31 日)事業報告
2) 2 号議案 2021 年度事業収支報告、審議
3) 3 号議案 2022 年度下記事業計画に関する審議 ① 活動方針(年次テーマ、重点課題) ② 活動計画 ③ 運営予算
4) 4 号議案 2022 年度役員選任(会長、副会長、運営委員、相談役)に関する審議

講演

①「5G に対応するメタロイドソリューション」
(株)イオックス 研究開発部 市場開拓グループ 志村 昌則氏
<要旨>
樹脂やフィルムに無電解めっきを析出させる為の触媒インキで、今後5G製品で要求される低誘電フィルムや難接着フィルムに粗化することなく高密着のめっきを可能にする新しい工法材料として「メタロイド」が紹介された。アンテナ等高周波特性が要求される製品は基材の誘電特性とスキンエフェクトが重要になり基材表面を祖化したものでは伝送損失が大きくアプリケーションが限定的になるところ、「メタロイド」では租化無く化学的に密着をしている為高密着で低伝送損失のFCCLや製品を作製する事が可能となる。ディスプレーを有する製品や透明アンテナで要求される光学特性も透過率を大きく下げる事無く(基材に対し約5%低下)Haze値は基材と同等レベルで実現可能で基材背面の黒化も特別なレイヤーを設ける事無く実現される。これらの特徴を生かしコーティング技術やパターニング技術で様々な5Gアプリケーション(スモールセルアンテナ、通信ケーブル、ヒーター、タッチセンサー等)に対応しサステナブルで先進的な製品づくりが可能となるとの説明があった。

②「エンジニアのためのキャリアデザイン」
百瀬知財・人材コンサルティング 代表 百瀬 隆氏
<要旨>
近年、企業価値に占める無形資産の価値が高まりつつあるが、それに伴って企業内で無形資産を生み出す人的資産そのものの重要性が高まっている。そこで、企業内で働く個人がどのように自身の知的資産を蓄積し、企業の無形資産の蓄積に貢献していくかという視点が重要なポイントとなってくる。そして、特に開発者、研究者が自身の知的資産をどの様に形成していくかを含めたキャリアデザインが重要になってきている。これに関連して、参考図書として「ライフシフト 100年時代の人生戦略」において、長寿命化のなかでマルチステージを生き抜くために無形資産(所得、健康、変化への対応力)を蓄える必要性が指摘されていることの紹介があった。一方、現在のVUCA(不確実性、不透明性)の時代では、企業経営自体が不安定な状況にあり、企業側の人材育成計画も機能しにくくなっている。つまり、新たな事業創出の取組を行うにしても、社内でそれに対応出来る人材が不足していることから、外部から人材を補強すると言うことが起こるなど、企業として開発者や研究者の育成を行うことが難しくなり、個人に自律したキャリア形成が求められる傾向にある。今回の講演では、自分自身のキャリアデザインを行う際には、「自分を実験対象とする考え方」が示され、それを行うために自分を上から観察する「メタ認知」能力が必要であることが強調された。なお、この「メタ認知」能力を上げる方法として、学術的には定まっていないが、講師自身の経験として、自身の場所の移動(国内から海外、都市から地方など)させることにより視点を変えることや、相手に視点を移すという「(他人への)気を遣う」意識を持つことが重要であるとの説明があった。又上司/部下の関係のなかでは、部下に視点を移し、部下がどうしたいのか(その人自身が持つ答え)を聞き出すことが重要との指摘もあった。
参考図書:
1)「知的経営の神髄」東洋経済新報社
2)「ライフシフト 100年時代の人生戦略」東洋経済新報社
3)「働く人のためのキャリアデザイン」PHP新書
4)「メタ認知」中公新書クラレ
5)「国際マヴェリックへの道」筑摩書房

4月例会

参加者 のべ170名(会場:48名、ライブ視聴:96名、ビデオ視聴:26名)
日時 2022年4月20日(水)
場所 タワーホール船堀 小ホール
講演

①「ウイルス感染症について新型コロナウイルス〜身近なウイルスまで」
㈱スギヤマゲン 学術室/開発室 室長 霜島 正浩 氏
<要旨>
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特徴を他の感染症病原体となる微生物との違いや、今までのSARSや新型インフルエンザなどのウイルス感染症との違いにより述べられた。ウイルスは、微生物ではないため、一般的に行われている培養による菌増殖を経て顕微鏡観察による検査ではなく、イムノクロマト抗原検査や抗体検査、遺伝子検査(PCR)など専用の検査が必要である。感染症の分類により、それぞれ対策が異なり、隔離方法や検査方法や検体の梱包、輸送方法などが細かく決まっている。実際、新型コロナウイルス検査の費用も各期間により異なり、4/1以降引き下げになり、7/1よりさらに引き下げられることが決まっている。新型コロナウイルスは、インフルエンザのように喉部での感染ではなく、直接、肺での感染がおこり、短期間に肺炎を発症することから、より危険性が高い。感染対策では、マイクロ飛沫感染の危険度が高く、換気による空気感染の防止が有効である。また、最終的にはワクチンによる予防が有効であり、そのワクチンの種類やその原理を基に新型ウイルスだけでなく、他の感染症予防への有効性も説明された。

②「富士フイルム独自抗菌・抗ウィルス技術HydroAg+の技術紹介及び新製品フィルム「HydroAg+Virus Plus」の特徴について」
富士フイルム㈱ メディカルシステム事業部 モダリティーソリューション部 マネジャー 阿部 洋史 氏
<要旨>講演の骨子は以下の5点である。
1.富士フイルムグループの紹介(事業展開や歴史背景)
2.開発背景
3.HydroAg+の技術的な紹介
4.応用商品の紹介
5.アプリケーションと応用の紹介
1934年に大日本セルロイド㈱の事業分離として創立される。2006年より富士フイルムと富士ゼロックスの2大事業を傘下に束ねる富士フイルムホールディングス㈱に移行される。会社理念はNever Stop~挑戦だけが未来をつくる。
2000年をピークに写真用フィルムの需要が激減していく事業環境下において、写真事業から生まれたコア技術を活用し、M&Aで事業領域を拡大していくことに成功した稀有な企業だと改めて理解した。代表的なコア技術は、フィルムベース、感光、精密塗布、撮像などであるが、これらのピークまで極めた高技術を展開できる写真以外の他領域へ展開していかれた。事業分野はヘルスケア、マテリアル、ビジネスソリューション、イメージングと4つの大カテゴリーに分けられており、ヘルスケア事業分野ではメディカルシステム(診断)、コンシューマーヘルスケア(予防)、医薬品(治療)、バイオCDMO(治療・予防)、ライフサイエンス(治療)の分野にビジネスを展開している。メディカル内視鏡~X線画像診断~IVD(体外診断)~超音波~CT/MRIの各々のデバイスを医療ITで統括する仕組みを富士フイルムオンリーで構築できる仕組みができている。 院内感染を防ぐという大テーマに対して、写真フィルムで培ったナノ銀の活用と特殊塗工技を活用してHydroAg+を開発した。当初は院内で使用するスマホ、タブレットにむけたカバーフィルムとして展開。現在ではATMタッチパネル、デジタルサイネージ、オフィス機器、航空機モニター、タクシーなどに採用が進んでいる。また、フィルム塗工品だけではなく、アルコールスプレータイプやハンドジェルタイプなどにも展開している。スプレーやアルコールクロスタイプでの効果を確認するため、神奈川県下の病院や学校と提携しインフルエンザ等の感染予防対策のエビデンスを集めており、極めてよい結果がみられている。また病院向けには医薬品レベルの効果があるハンドジェルタイプの拡販を進めている。